不動産を直接売り買いする人たちの掲示板「家いちば」

保健室だより

空き家を売るのに片付けしなくてもよい事情

空き家が増え続けていて社会問題となっています。日本は人口が急速に減り始めていることが空き家が増加する大きな要因であり、この状況は急には変えられず、今後も空き家が増え続けることがほぼ確実です。しかも、すでにほとんどの人にとって他人事ではない問題となっています。いつ実家の親が亡くなって、そこが空き家となってしまうのか不安を抱えている人も多いでしょう。 片付かないから空き家のままに 実家が空き家になってしまう時、たいていそれまで住んでいた家族の大量の家財道具がそのままになっていて、まずその片付けからやらないといけません。中には、自分が子供の頃の学習机などもそのまま残っている、ということも少なくないでしょう。しかしながら、実家から離れて暮らしている場合も多く、その片付けがなかなか進みません。「片付かないから空き家がそのままになっている」という人が多いのではないでしょうか。国の調査でも、空き家を「荷物置き場として使っている」という人が空き家所有者の6割にものぼります。空き家に物がたくさん置かれたままの状況が目に浮かんできます。 空き家政策の現状の課題(国土交通省) https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001518774.pdf 空き家をそのまま売りたい人 そういうこともあって、家いちばでは、空き家を荷物満載のまま売りたいとする人の数多くの物件が「売ります掲示板」に掲載されています。掲載文を読んでみると、片付けることを断念して、「このままで買ってくれるなら安くします」というメッセージが付けられた物件もよく見かけます。 なるべくそのまま引き取ってくださる方を探しています(売買事例) https://ieichiba.com/project/P202100575%E5%B7%9D%E8%A5%BF%E7%94%BA%E4%B8%8A%E5%B0%8F%E6%9D%BE 「そのままでいいですよ」とする理由 その後の商談の様子を観察していると、最終的に買い手の方から「そのままでいいですよ」となっているケースも多いです。いえむしろ、「全部きれいに処分してください」と言い切る買主はほぼゼロと言っていいです。もともと、不動産を売る時には「残置物」はすべて片付けることが常識であったため、家いちばで見かけるこの光景には不思議に感じていましたが、とある買主に聞いてみると、「売主さんを目の前にして『全部捨ててくれ』とはとても言えない」そうなのです。 このことは、家いちばサイトのような、売り手と買い手が直接やり取りする仕掛けの場合の大きなメリットと言えます。おそらく、相手が不動産会社であれば、「全部捨てるのが当然だろう」とさらっと言えるのに、ここが日本人独特の奥ゆかしさなのか、興味深いところです。 残置物が宝の山に変わる しかし、それ以前に、残置物とはいっても結構使える物も多いのです。食器棚に並ぶ食器一式や調理道具。冷蔵庫、洗濯機などの家電製品。そのほか、和箪笥や鏡台など骨董品クラスの物も少なくありません。仏壇は、そのままお寺に頼んで「仏抜き」だけやればインテリアとして使いたい人もいます。 昔、雪深い北海道の物件を売った時には、除雪車(地元では「雪はね機」という)が残置物としてオマケについてました。その物件の価格が100万くらいだったので、おそらく、物件の値段よりもその除雪車のほうが高価だっただろうと思います。それでも売主さんが「ここでの暮らしではこれがないと生きていけないから」と気前よく置いていかれました。 「もったいない」という気持ちがある このように、残置物をそのままで売買できることは、買い手にもメリットがあるし、さらには、売主さんにとっても、単に処分する手間が省けたというだけでない喜びもあります。残置分も業者に依頼してお金をかければすぐにきれいに処分できます。しかし、そのような経済的な話ではなく、やはり、「もったいない」という気持ちが心の底にあるもので、それが引っかかって片付けに身が入らないのではないかと思います。けれど、捨てて処分するのでなく、買主さんが何らか活用してくれるとすれば、自分としての役割が済んだ気持ちになるのではないでしょうか。「次の人にバトンを渡す」こと。これが、空き家問題の解消に必要なコンセプトだと強く感じるところです。 (家いちばコンサルタント 藤木哲也)

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    雪はね機

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    こんな残地物も

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