建物の「構造」を超シンプルに理解する方法
普段はあまり意識することがない建物の「構造」ですが、買おうとしている空き家が少し傾いていたりすると、「大丈夫かな?」と心配になることがあります。また、自宅をリノベーションなどする際に柱などが邪魔になって思うようなリノベができなかったりします。ここで建物の構造問題が立ちはだかります。 「ジャングルジム」のような造り まず最初に理解すべきことは、建物は大きく「構造体」と呼ばれる部分とそれ以外の「仕上げ」部分とに分かれているということです。構造体が建物を支え、地震や風などの外力に耐えうるように造られています。一方の仕上げ部分は、建物を支えることには役に立っておらず、あってもなくても、建物がひっくり返ることはありません。 構造体は、分かりやすく言えば「骨組み」です。ただし人間の骨格ほど複雑でなく、たいていの建物は「ジャングルジム」のような格子状のシンプルな骨組みとなっていて、縦棒にあたる部分を「柱」といい、横棒のところを「梁(はり)」と言います。 あらゆる建物も基本は同じ このジャングルジム的な構造は、昔の日本家屋から、オフィスビルやタワーマンションに至るまで、幅広く採用されています。これを専門用語では「ラーメン構造」と言います。私はこれを建築の大学の授業で最初に教わった時には笑いを禁じ得ませんでしたが、もちろん食べるラーメンとは全く意味が違います。ドイツ語から来ています。 建物の中で生活を行う上で必要なのは「床」です。これを梁で支え、その梁を柱で支え、基礎を通して地面に定着させます。梁はさらに、柱同士が倒れないように繋ぎ合わせる役割も果たしてます。ゆえにラーメン構造は丈夫で広い面積の床を効率よく築造することができるため、あちこちで使われるようになったわけです。 いろんなバリエーションもある ただし、この柱と梁のタテヨコの部分だけでは、地震のような激しい横揺れには弱い面があるため、それを補強するために「耐力壁」やブレース(斜めにかけられた棒状の部材)を用います。これらも重要な構造体の一部です。コンクリート製の硬い床もこれと同じような役割を担っている場合があります。 さらにはこの耐力壁が柱のように建物を支える役割も兼ねることで、柱そのものをなくした「壁式構造」というものもあります。いわゆるツーバイフォーの木造住宅で幅広く使われていますが、マンションなどの鉄筋コンクリート造の建物の場合は、壁式構造とすると間取りの自由度が下がる傾向にあるため、あまり見かけることはありません。 まずは、自分が普段過ごしている家やマンションや、会社や学校など、それら建物の構造体を意識して見てみるといいでしょう。ご自宅の設計図があれば、さらに詳しく読み取ることができます。 (家いちばコンサルタント 藤木哲也)
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