「ペット共生型賃貸」そして「猫賃貸」
新規ペット飼育数の増加 昨今、犬や猫と暮らすことをテーマにした賃貸住宅が増えています。特にコロナ禍に、在宅時間の増加や癒しを求める傾向から、新規のペット飼育数、飼育世帯数が増加したとの統計もあります。特に、猫の飼育数が増えているとのデータもあります。これにより、ペットと共に快適に暮らせる住環境へのニーズが高まり、ペット共生型賃貸住宅などが増えてきています。現在、賃貸市場では供給が増えて空室率が上昇しているため、不動産会社や大家は競争力のある物件を提供する必要があり、ペット共生型の賃貸住宅は、そういった特定の需要を狙うことで安定した入居率を確保しやすくする工夫の1つでもあると言えるでしょう。 ペット共生型賃貸住宅 従来の「ペット可」物件では単にペット飼育が許可されるだけでしたが、最近ではペット用の足洗い場、防音対策、滑りにくい床材、ドッグラン付きの共用スペースなど、より快適に暮らせる工夫が施されたペット共生型賃貸住宅が増えています。ペットの健康やストレスを考慮した住環境を整えられることが、家を選ぶ上で飼い主にとって重要なポイントとなってきています。さらに、猫は家の中で一緒に過ごす時間がより大事であるため、猫が安全にストレスなく暮らせる工夫が必要不可欠です。しかしながら世の中には猫向け賃貸は少なく「犬は可」でも「猫は不可」の賃貸住宅がまだまだ多く、頭数制限がある賃貸住宅が多いことが現実です。そのためにペット共生型賃貸住宅ならぬ「猫との住まい」、より猫のことを考えた住まいがあります。猫とひとが快適に暮らすためにデザインされた住宅です。 築古の戸建を「猫との住まい」賃貸化へ 家いちばが事業企画・プロデュースに携わらせていただいた高尾の築60年を超える空き家も「猫との住まい」へリノベーションを行いました。企画検討の中では高尾の自然を生かすコンセプト賃貸や、DIY可能賃貸、小商賃貸等…をこの高尾の立地でどんな人がどんな住まいを求めるのか、を念頭にさまざまなパターンを検討しました。その中で、ペットを飼う人が増加し「ペット共生型賃貸」が人気であるという社会情勢や、本件のような戸建の独立性が猫の縄張り意識に沿っていること、周辺他物件との差別化のためにも今回は「ペット可」でもなくさらに踏み込んだ「猫との住まい」として賃貸化とする提案を行いました。本件は一級建築士・愛玩動物看護師いしまるあきこ氏に設計者兼リフォーム施工として入っていただき、猫とひとが快適に暮らせるようにデザインしていただきました。具体的な工夫としては、猫の脱走対策を考えた玄関ホールドア、キャットウォーク・ステップ、室内窓やドアで区画されたキッチン、滑り配慮と汚れにくいペット向けフローリング、爪とぎされにくく消臭効果が高いしっくい壁、猫の落下防止を配慮したカーテン、開き戸のドアノブは握り玉で勝手にドアをあけられにくいつくり等…猫とひととが快適に安全に過ごせるように考えられています。猫の習性に詳しく猫との住まいを専門とするいしまる氏ならではの細かい配慮とこだわりが詰まっています。 築古の物件でも考え方とつくり方次第で生まれ変わります。既存建物を活用するからこそ、新築と比較して基本的なコストを抑えられるため、付加価値を高めた物件にできることもポイントです。また、このような他物件と差別化できるような「ペット共生型賃貸」や「猫との住まい」等のコンセプト賃貸は今後も増えていくでしょう。 ◆いしまるあきこ氏の建築士事務所HP 「まるねこ一級建築士事務所」/猫シッター・老猫ホーム・猫ホテル・開放型シェルター「まるねこ」 http://maruneco.jp (家いちばコンサルタント 秋元絵美香)
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