自然災害に備える、「ハザードマップ」は見てますか?
ほぼ毎年のように、大雨による河川の氾濫や土砂崩れなどが起こり、深刻な被害が出ています。2015年には、北関東と東北を中心とした広範囲で長時間の豪雨が続き、各地で洪水等による多数の死傷者が出る大災害が起こりました。この当時、鬼怒川の決壊による浸水エリアが、事前に公開されていた「ハザードマップ」とほぼ一致していたことが話題となり、ハザードマップが世に知られるようになりました。 2015年9月に茨城県常総市で発生した洪水の特徴 https://www.jsnds.org/ssk/ssk_34_3_171.pdf いろんなハザードマップがある ハザードマップとは、洪水時の浸水エリアをその深さごとに色分けされた地図で、市町村の市役所に行けば、無料で入手できるものです。多くの自治体がネット上でも閲覧できるように整備されてます。洪水のほか、土砂崩れが起こりそうなエリア(土砂災害)や、最近では津波被害を予想するハザードマップも見られます。都心では、地震時の火災の危険性の高い地域を示すマップも用意されてます。 さて、みなさんは、ハザードマップの存在と、それが誰でも無料で見られるということをご存知でしたか?もし、「自分は災害など気にしない」という人でも、ご家族はいかがですか?あなたが家族を守るべき父親か母親であるなら、このことをよく調べたうえで、自然災害に備えておくことが、義務だと思います。少なくとも、家を買うなりする際に、関心を持ってください。 ハザードマップポータルサイト(国土交通省・国土地理院) https://disaportal.gsi.go.jp/ 自然災害の多い国、日本 本来、そういう自然災害上で危険性の高い地域は、法律で居住制限などすべきとは思いますが、ご承知のとおり日本は自然災害の多い国で、逃げ場がないくらいです。低い土地では浸水の心配があるし、高い土地では土砂崩れの懸念があります。地震に至っては、いつどこで起こってもおかしくない状況です。日本列島は、地殻運動により隆起した土地が降雨により削られることで形成され、川が運んできた土砂が堆積してできた平地に多くの人が住んでいます。今さらそれを法律で制限することもできないという現実です。 不動産を買う時の心得 そういうこともあり、今後は、災害に強い土地とそうでない土地とで、不動産の価格も大きく開きが出てくるようになるでしょう(反対に言うと、現在ではそれほど価格に反映されてません)。その意味で、浸水エリアだからといって、それだけで買うか買わないかを決めてしまうのも極端でしょう。価格やそれ以外のメリットなどと含めて総合的に判断すべきです。 災害の避難場所を自分で用意する時代 幸い、洪水がいきなり襲ってくることはなく、ある程度早めに警戒警報が出されます。最悪、命だけは守るという行動はとれなくありません。家屋の損傷は保険でカバーできます。被災した場合の避難場所は、二拠点用の住居(セカンドハウスなど)をあらかじめ確保しておくことで備える方法もあります。 かつては、被災などした場合には、田舎の実家に身を寄せるという方法が取れましたが、最近ではそういう実家も減ってきてるのではないでしょうか。国の支援で避難場所や仮設住宅が用意される場合もありますが、決して快適とは言い難いものです。これからは、「自然災害の避難場所」を自分で用意しておく時代なのかもしれません。 (家いちばコンサルタント 藤木哲也)
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