不動産を直接売り買いする人たちの掲示板「家いちば」

保健室だより

田んぼや畑を自由に売り買いできない「農地法」とはどんな法律か

日々、都会に暮らしていると忘れがちですが、日本は農業国でもあります。国土の14%が「農地」であり、一方で人々が暮らしている「宅地」が4%でしかありませんから、実にその3倍以上の広さです。東京から新幹線に乗り数十分もすれば、広大な田園風景が目の前に広がります。 環境白書(国土庁) https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h04/8257 国策として守られてきた農地 日本の産業構造は戦後に大きく変わりましたが、それでもこれら田園(農地)が守られてきました。そこに「農地法」の存在があります。農地法は戦後の占領下、GHQが強く進めた施策のひとつで、日本のそれまでの封建時代の名残であった小作人らを地主から解放し(農地改革)、合わせて共産主義化を避ける狙いとがありました。これにより、農地は細分化され、効率性は落ちてしまう結果となりましたが、農地の転売、転用などは抑制される方向で、今日に至ります。 農地改革 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%BE%B2%E5%9C%B0%E6%94%B9%E9%9D%A9 農地を残すことで日本の食料自給率を維持する期待もありましたが、結果としては、農業の近代化を遅らせ、後継者不足に陥り、先進国中最低水準の自給率に落ち込んでしまいました。 農地法の許可がないと売買できない 農地法の「農地」として指定された土地は、許可申請により認められなければ、自由に売買ができません。この許可証を添付しないと法務局で移転登記申請を受け付けてくれないので、なかなか実効力のある法規制です。抜け道はありません。土地の登記簿で地目(ちもく)が「田」「畑」と記載された土地は、ほぼこの規制の対象となります。 許可が下りるには、買主側の実際の「耕作能力」の有無が問われます。農機具などの所有状況や居住地からの距離などをその市町村の「農業委員会」で審議されます。委員会での審議となるので、「ちょっと大目に見る」などの匙加減がなかなか通用しない、厳しいものです。 相続によって農地が荒れ地のまま放置されることに しかし現実として、相続による「耕作放棄地」の問題が起こっています。農地の所有者が相続(死去)となると、自動的に農地の所有権がその子孫に移ります。この際に許可申請は要りません。しかし、その子供たちは、すでに都会に出るなどして働いていて、農作業なんかできません。なおかつ、農地以外に使おうとしても、これにも農地法の許可が必要で、仮に許可が出たとしても、農地を宅地などに転用する場合には、実際の造成費用がかかり、なおかつ固定資産税も上がるので二の足を踏みます。こうして、全国に荒地のまま放置されたかつての田や畑が大量に発生することとなりました。 こういった現実に各自治体も深刻に考え、農地法を柔軟に運用して許可要件を少しでも緩めようと試行錯誤されました。ここ数年では、国も法改正をして、自治体側に裁量を委ねる流れとなってきています。その結果として、農地法に対して厳しい市町村と緩いところとが混在する状況になっています。 田舎の空き家と農地を一緒に買って家庭菜園に 家いちばでも、田舎の空き家と農地がセットで売られているケースも実に多いです。しかし、農地については許可が下りず、母屋と宅地だけ仕方なく売買せざるを得ないこともありますが、農地だけ元の所有者のままにしても、問題の解決にはならないため、さらなる緩和が望まれます。 幸い、空き家を買うついでに「家庭菜園」でもやろうかなという人も少なくありません。農業と呼べるほどのものではないかもしれませんが、ほったらかしの荒地のままよりずっと良いと思います。中には、趣味の領域を超えた本格的な家庭菜園も、家いちばの売買で見かけることもあります。むしろ都会では「レンタル農園」も人気です。土に触れることで精神面でのヒーリング(癒し)効果もあると聞きます。もっと発想を柔軟にして、農地問題を解消していきたいものです。 (家いちばコンサルタント 藤木哲也)

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