分譲マンションって要するに「区分所有」です
街を見渡せば、マンションがかなり増えましたね。数字で見ると、都民の3割が分譲マンションに住んでます。湾岸エリアはタワーマンションがひしめき合ってる状況で、さらに建設中のタワマンがあちこちに見られます。この比率は今後も増える傾向です。 便利で快適な「分譲マンション」が定着 それは、マンションが利便性と快適性を兼ね備え、進化して、住まいの選択肢として認められてきた証です。私自身、分譲マンションを作る仕事をしていたこともあり、よく分かります。当時はマンションブームで、ちょうどモデルルームも豪華に派手になった頃で、大手不動産会社をはじめ、各社がしのぎを削って新商品開発に躍起になってました。今では当たり前になった、フローリングや浴室乾燥機などの設備は大抵この時期に普及したものです。(その後、姉歯事件などがありブームも終焉しました) 「区分所有」とは何か 実は私自身、当時マンション開発の仕事をしながらも、自宅としてはマンションでなく、戸建てを買いました。自分にはマンションは向かないと判断したのです。それは、設備や仕様などのハード面からの理由ではなく、「区分所有」に馴染めなかったからです。 マンションを買えば、いちおう土地と建物両方の「所有権」が得られ、それぞれの登記簿に自分の名前が載ります。その権利に基づいて抵当権を入れてローンも借りられます。しかし、「区分所有」という但し書き付きで。 この区分所有ですが、ひと言でいうと「自分のもののようで自分のものでない」、一瞬では理解しがたいものであります。分かりやすいところでは、お隣りとの「壁」ですが、たいてい鉄筋コンクリートの頑丈な造りにはなっていますが、その壁自体は「自分のもの」ではありません。だから、勝手に穴を開けたりしてはいけないことになってます(コンクリートなので簡単に穴は開きませんし、開けようとするとすごい音が出ます)。 そのほか、階段やエレベーターやエントランスホールなどが「共用部」とされ、そのマンションに住むみんなのものという扱いです。物理的にはそういうことですが、実際問題はもっと複雑です。それらを維持管理するのに、一定のルールが必要だし、ルールがあればそれを守らせないといけないし、さらにそのための費用が安からずかかり、これを「みんな」で話し合って決めていかないといけないわけです。 マンションに向いてる人、向かない人 そこには予測困難なリスクが潜みます。話し合いは多数決です。スムーズに進むこともあれば、なかなか決着がつかないこともあるでしょう。それはなにせ「人」が絡むことで、もし協調性のない人がいたりすれば、議論も紛糾しかねません。 自分自身の性格を振り返ってみて、そういう協調性にあまり自信がなかったため、マンションは諦めました。しかし、人によっては「マンション向き」の人もいます。マンションの住民も、100戸、200戸くらいになってくると、いろんな職業の人が出てきます。例えば、医者、弁護士、商社、IT、自営業、建設業などをお仕事にされてる人が揃ってきます。すると、いろんなことができるようになってきます。それらの人が「管理組合」の運営に積極的に関与するようになれば、とても心強いものです。こういう、ある意味「他力本願」でも、能力のある人の力を借りて生きていくことが心地よいという人もいると思います。そういう人はむしろ積極的にマンション住まいを選ぶといいです。 本来、マンションを分譲する際に、「向いてる人か向いてない人か」の面接審査くらいやったほうがいいんじゃないかと思うくらいです。せめて、これから家探しをしようとしている人には、最低限知ってほしいこととしてお伝えする限りです。 (家いちばコンサルタント 藤木哲也)
- 214
- 1