不動産を直接売り買いする人たちの掲示板「家いちば」

保健室だより

田舎の不動産が流通しない最大の理由

家いちばで仕事をしていると、500万円以下の価格でも活発に取引が成されており、「なぜこんなに取引されるのに、不動産市場であまり見かけないのだろう?」と思っておりました。しかし、実際に計算してみると、不動産業者が取り扱わない理由が見えてきました。 不動産取引にかかる費用に関して、まずは経費の中の人件費で考えてみます。査定・現地調査・広告作成&掲載・売買契約書類作成・(融資手続き)・売買代金の授受・所有権移転をすべて行うにも、最低でも60時間かかります。働き盛りの不動産営業マンの人件費は最低でも2,000円は超えていますから、それだけで120,000円はかかります。当然、車や電車を使って各地を動きますし、資料の取り寄せにも経費がかかります。SUUMOやアットホームに物件を掲載するのも当然費用が発生します。また、営業マン以外にも事務職の人件費や事務所の家賃もありますから、すべて合わせると原価だけで30万円近くになります。 それに対して、仲介手数料は「売買価格×3%+6万円+税」ですので、物件価格が800万円ならば、税込で33万円です。もし案件が長期化したり、トラブルが発生すると赤字が確定します。つまり、低廉不動産の取引はやるだけ赤字の危険が孕んでいる案件になります。 このようなことから、もし田舎の不動産にだけ精を出して仕事をしていたら会社は傾いてしまいます。そのため、地方の不動産屋は建築業と同法人にして新築分譲や注文住宅でも収入を得ていたり、不動産賃貸~賃貸管理業でコンスタントに収入を得ていたり、売買仲介の取引の中でも2,000万円以上に絞って取り扱うなどの戦略を取っています。 国土交通省としても、不動産業者が前記の対応を取っていることは把握しており、令和6年7月1日に「0円であっても顧客から税込33万円を限度に報酬を得ることができる」という告示がされました。2018年1月1日に「売主からのみ税込19.8万円の報酬を得ることができる」という告示がありましたが、ほとんど効果が出なかったので、今回の告示になったという経緯です。 ただ、やはり冷静に見てみると、過疎地や離島では不動産業者がいないといった状況もあります。そういった地域では金額を引き上げることで買主は購入ハードルが上がり、成約が益々遠ざかって売主は更に苦しむことになります。利用者の中には不動産業者だけでなく空き家バンクにもアプローチをかける方もいらっしゃいますが、残念ながら過疎地域の自治体では空き家バンクを設置する余裕が無かったり、空き家バンクを設置していてもホームページの運用が他課との兼務になっていたりしています。結果として空き家は流動し辛いままになってしまいます。 そして、仮に成約した時の仲介手数料は33万円です。空き家の処分の為とはいえ、結構高いですよね。ちなみに家いちばでは手数料が下記の通りとなっています。 家いちば手数料 = 媒介報酬分※1 + 基本料※2(税別) ※1 媒介報酬分(通常仲介手数料の半額) 売買価格400万超の場合→1.5%+3万 売買価格400万以下の場合→2%+1万 売買価格200万以下の場合→2.5% ※2 基本料 基本料→9万(一律) 仮に0円で成約した場合、家いちばでは税込で99,000円に対して、通常の不動産会社では税込330,000円です。(差額231,000円)一番差が小さくなる800万円で成約した場合でも、家いちばでは税込264,000円に対して、通常の不動産会社では税込330,000円です。(差額66,000円) もしこの記事を読んでくださっている貴方が過去に不動産屋に断られてしまった経験があったとしても、それは「(あなたの不動産は)売れません」ということではなく、「(我々の会社では黒字内で)売れません」ということなので、気落ちしなくても大丈夫です。もし、断られたのが法改正があった2024年7月より前だった場合にはもう一度不動産屋さんに問い合わせてみても良いと思います。状況が変わっているので対応してくれるかもしれません。 (家いちばコンサルタント 手塚龍行)

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