不動産を直接売り買いする人たちの掲示板「家いちば」

保健室だより

建築と不動産のあいだ

2つの業界の距離感 ちょっと業界の話をします。「家」に関して言えば「建築」でもあり、「不動産」でもありますが、これら2つの業界の間には、大きな溝があると言われてます。 根っこには許可業法がそれぞれ全く別の法律(宅建業法と建築士法など)で規制していることもあり、それぞれに協会などの公的団体が存在して組織化されている点があります。これは、どこの業界でもある話と思います。業界を取り締まる法律が異なれば、考え方や優先順位などが変わってくるのも当然です。 それぞれで働く「人」の違い しかし、本当に深刻なのは「人材」の問題です。ほとんど仕事の対象は同じものなのに、建築と不動産の業界ではそれぞれ異なるキャリアを積んだ人たちが働いてます。これには日本の大学教育の問題があります。建築系の出身校は工学部の建築学科、あるいは芸術系の大学などが主流です。一方、不動産系は、直接の学部がなく、経済学部卒など幅広い出身者を抱えてます。「建築士」免許の資格要件に建築系の学部卒を条件としている一方で、「宅建士」にはそのような学卒要件がないため、高卒者や異業種からの流入が多い印象です。 こういったキャリアパスの関係で、建築系は「理系のインテリで芸術家肌」が多く、不動産系は「上昇志向の強い営業体質」という印象です(ステレオタイプな個人的見解です、すみません)。したがって、これら両タイプの「人種」同士で話が合うのかと言えば、なかなかご想像の通りです。したがいまして、建築と不動産のあいだの「溝」はかなり深いものになっています。 両方の業界をうまく融合させたサービスの登場 さて、そのとばっちりを受けるのが、それぞれの業界の会社が提供するサービスを利用する一般消費者です。消費者目線で見れば、そんな溝など知ったことではない。しかし現実は「たらい回し」にされる場面も少なくないでしょう。もちろん、こういった壁を乗り越えようと、いろんな試みがされています。建築に造詣の深い編集者が物件の紹介をする不動産サイトの「東京R不動産(https://www.realtokyoestate.co.jp/)」や、建築家と連携して土地探しからアレンジしてくれる「創造系不動産(https://www.souzou-kei.com)」などです。むしろこういったサービスがまだ「珍しい」とされる日本の現状が、問題の根深さを物語る面もあります。 「教育」が鍵となる 建築と不動産の間の垣根を取り払い自由になれば、もっと便利なサービスが世の中にたくさん出てくるようになると思います。ここで提言ですが、やはり大学教育から見直すしかないでしょう。しかしその前に、そこで教えられる先生をまず育てないといけません。実はこの問題の本当の原因は、建築と不動産の両方を教えられる先生が絶対的に不足しているということにもあります。ですから、この記事を読んでる人の中で、「我こそはその先生になりたい!」という方がいれば、ぜひ今日からでもその道を進めてください。問題があるところにニーズがあります。もし、あなたがこのテーマに取り組めば、一生涯の仕事となること間違いなしです。 (家いちばコンサルタント 藤木哲也)

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