不動産を直接売り買いする人たちの掲示板「家いちば」

保健室だより

【空き家幸福論】問題解決のゴールは何か?

空き家が増え続ける理由 「空き家問題」が社会問題として叫ばれるようになって久しい。この20年で空き家が倍増している。直接の原因は人口減少にあるから、予測されたものだ。生まれる人口が減って、死んでいく人口が増える「少産多死」という、日本は高齢化の次のフェーズに入っている。火葬場が足りないくらいお年寄りがたくさん亡くなっている。毎年、130万人の人が亡くなっている。これは百万都市のさいたま市の人口と同じ数字だ。この急速な人口減少の一方で、新築住宅が大量に作られている。毎年90万戸もの新規住宅が供給されている。この狂気的とも言える状況から大量の空き家が発生している。毎年20万戸が空き家となって増え続けている。そりゃ当然そうなるわ。 捨てる神あれば拾う神あり? そこで私は、2015年に「家いちば」というサイトをスタートさせた。とにかく空き家を流通させようと。「捨てる神あれば拾う神あり」だろうとやってみたところ、これが大当たりした。使い道のなさそうな空き家でも、ほしいという人がたくさんいた。使われずに放置された空き家をお金を払って買う人の手に渡れば、それはもう空き家ではない。これまで1000戸近く売買してきて、空き家問題の解消の一助になったと自負している。 「多拠点ライフ」というニーズ さて、人口が減ってるのに、いったいどんな人が買ってるのか。それが、「多拠点ライフ」の人たちだった。多くは「遊びの拠点」のような感覚で、数百万、数十万の空き家を買っている。しかし、ということは、である。いわゆるセカンドハウスのようなものだから、月のほとんどは誰も住んでいない。せいぜい、月に1〜2回ほどの利用ではないだろうか。それなら相変わらず空き家のままで、これで空き家問題が解決したと言えるのか? 空き家を減らせばいいのか? ここで疑問がわく。そもそも空き家問題のゴールは何なのか。すべての住宅に常時誰かが住んでる状態を目指すのか。いやそれでは、人口が減ってる中では永遠に解決しないのではないか。もし物理的なそういう状態を目指すなら、不要になった住宅を片っ端から解体していくしかない。しかしそれではお金がいくらあっても足りない。一軒あたりの解体費を100万としても、400万戸あると言われる空き家の全てを解体するのに4兆円もかかる。お金の問題だけでない。7件に1件もあると言われる空き家がすべて更地になったら、街並みはどうなってしまうのか。そんな歯抜けのようになった街の魅了が落ちて、さらに人が来なくなる悪循環にならないか。すなわち、物理的な解決方法では、さらなる問題を生むだけだ。 大きな税金などいらない、今すぐできる解決方法 そこで、私が考案したのが「幸福度」で測る方法だ。実際に家いちばで取引きされた売主さん、買主さんの様子からヒントを得た。売買、すなわち極論すると「名義を変えただけ」なのだ。それにも関わらず、売主はホッとして、買主は楽しみが増えてワクワクしている。まだその時点では目に見えて空き家そのものには何の変化も起こっていない。しかし、明らかに何かが変わっている。目に見えない変化が起きている。二人の幸福度が変わったのだ。これに特に大きな費用がかかっていない。登記費用くらいしかかかっていない。何も、税金や補助金も、特別な法律も必要ではない。今すぐできる空き家問題の解決方法だ。空き家問題のゴールは何か?もし、それがよく決まってないなら、国民の幸福度を尺度とした目標を定めてはどうだろうか。これが私が提唱する「空き家幸福論」である。 (家いちばコンサルタント 藤木哲也)

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