「小さく商う」暮らし方
コロナ禍を経て、働き方が多様化しました。業種の違いや個人の考え方にもよりますが、私自身リモートワークを実施したことによって「住む」と「働く」が同じ場所でも両立ができ、意外にも快適であることに気がつきました(通勤のストレスや、朝必ず会社に出社しなければいけないという制約がない等)。もしかすると「住む」と「働く」そして「趣味」を分断しない、緩やかな暮らし方というのも増えてきているかもしれません。 そんな今日、何か小さく事業を始めたいと考えている方、本業の傍らで趣味がてらお店を始めたいと思っている方、退職後に夢だった飲食店を始めたい方、「小さく商いながらの暮らし、小商」はいかがでしょうか?小商とここでイメージしているものは何も新しいものでなく、昔からある住宅、働き方・暮らし方の1つの形のことで、1階が自身が営む小規模なお店で2階が自宅になっているような家の形を「小商」と呼ばせていただいております。(例えば「商店街の一角で1階に八百屋があって2階がその八百屋さん家族の住宅になっているような戸建」をイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません)むしろ昔の商売人はこのような暮らし方の方がスタンダードですよね。 まずお店や何か事業を始めたいと考えた時にどこにお店を構えるか、そのスペースを借りるのかそれとも購入をするのか、現代ではさまざまな選択肢がありますよね。店舗スペースを購入するにも賃貸するにも初期投資がかかります。店舗として購入する場合は現金または事業用ローンの準備が必要かもしれません。初期のリフォーム費用、賃貸の場合には退去の場合の現状回復といって元の状態に戻すための費用も見込んでおいた方が良いかもしれません。先が読みにくい事業の場合にはリスクもあり、初期投資を行う決断をすることはある程度勇気が必要です。 そこで、小商住宅という1つの選択肢、手法の1例についてご紹介します。「店舗併用住宅」や「店舗兼用住宅」は聞いたことがあるでしょうか?これらは言葉通り店舗と住宅が一体化した店舗付住宅のことですが、2つの違いは建築できるエリア(用途地域)や面積の制限等に違いがあります。市場の店舗付住宅建物を賃貸する、または購入するという選択肢もありますが、新たな店舗スペースを賃貸や購入をすることなく所有している自宅や購入した家を改装して一部を店舗化することも1つの方法としてあります。自宅を一部店舗化する場合にもリフォーム費用等初期投資はかかりますが、住宅とは別で店舗を購入する費用負担よりは少なくなると想定され、賃貸のようなオーナーとの条件の中での制限や原状回復費用などの費用負担も少なくなるかもしれません。もしも事業を辞めたいと思った場合でも自宅のスペースとしても活用できるような改修をしておけばある程度柔軟性もあります。例えば自宅の戸建で小さくカフェを始めたいと考えている場合、リビングスペースを改修して一部を飲食店にして、飲食店の営業時間外は自宅のキッチン兼リビングスペースとしても利用できる「働く」と「住む」の機能を兼ねた柔軟で流動的なスペースになるかもしれません。また、飲食店のスペースを自身で利用しない間はテナントとして貸し出すこともできるかもしれません。 もちろん法的な制限やエリア(用途地域)の制限、住宅ローンの適用範囲の確認、保健所への確認は必要ですが、商い暮らしの1つの方法として考えてみても良いかもしれません。 (家いちばコンサルタント 秋元絵美香)
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