「タダより高いものはない」?ゼロ円物件は買いなのか
家いちばサイトでもたまに見かける「0円物件」、土地付きの一軒家がタダで買えるってどういうこと?と、2015年にスタートして以来、根強い人気があるカテゴリーのひとつです。 100万円未満売ります掲示板 https://ieichiba.com/tags/0-100manyen 0円はさすがに安すぎる サイトをはじめたばかりの頃は、「タダで売ります」などと載せたりすれば、問合せがすぐ100件を超えてパンク状態でした。その頃はまだ0円物件が珍しかったこともあるのでしょう。テレビなどでもよく取り上げられました。今は、そういうサイトも増えてきたのか、少し落ち着いた感があります。 ひとつには、0円で売ろうとする売主さんがかなり減りました。それはそうですよね。家いちばのサイトを見ると、自分が売ろうとしている家と同じくらいボロボロの家がもう少し高く売られていたりするので、ひょっとしたら0円でなくても売れるかも、と値段をつけるようになったのです。 それが正しい市場原理です。100人も買いたい人が現れるようでは、それは安すぎなのです。むしろ、家いちばの場合は、それら買い手の問合せに全部自分で対応しないといけないので、それはかなり大変なことです。問合せが多過ぎて売ることを断念した売主さんもいるくらいです。 お金がない人は買ってはいけない なおかつ、これは正直に言いますが、0円物件を買おうとする人の中には、やや安易な考え方の人が多い傾向にある、ということです。そういう人に限って、商談のマナーにも問題があったりします。「タダならもらってやるよ」みたいなややぞんさいな態度だったりします。こういう態度をされた売主さんはかなり気分を害されます。商談はお互いが気持ちよくできなければ、先には進みません。 仮に、運良くゼロ円で物件が買えたとしても、そこからが実は大変です。ゼロ円には理由があります。長年放置された空き家の場合は、水道や下水(たいてい浄化槽か汲み取り)が老朽化してすぐに使えず、設備をやり替えたりする費用がかかったりします。すぐに100万単位の修理費用がかかります。 多少の現預金を持っていないと、そこに住むための最低限の工事すらできず、宝の持ち腐れになります。「お金がないからゼロ円物件を買った」つもりなのかもしれませんが、「お金がない人はゼロ円物件を買ってはいけない」が正解です。 0円物件が売れるまで 先日、家いちばの売主さんがテレビの取材を受けて、0円物件が売れるまでの様子が放映されました。20年前に相続した空き家は徳島の山奥なのに、売主さんは大阪住まい。年に何回か草刈りに通ってましたが、1回の往復でレンタカー代など5万ほどかかり、それを20年分で計算すると400万を超え、それが0円で売りに出された理由でした。 テレビ東京「林修のLIFE IS MONEY」 https://www.tv-tokyo.co.jp/broad_tvtokyo/program/detail/202410/26970_202410152306.html そこに救世主のような買主さんが現れて、めでたく商談成立。買主さんは、近所の吉野川の渓流沿いでラフティングなどを楽しめる宿の運営をされている方で、同様の古い空き家をリノベーションもしていたので、物件を見てすぐに修繕費用として400万ほどを見込む判断をしました。これに売主さんもとても安堵しました。 物件価格だけでは判断できない 「ゼロ円物件」という言葉に惑わされるところがあります。0円で買っても、買った後に400万かかるなら、ほとんど修繕がいらない400万の物件を買うのと変わりません。本質的には売買価格がどうなのかはあまり意味がなく、その後の利活用のプランとセットで考えることで初めて、その価格が自分にとって妥当なものなのか判断ができるというものです。 ただし、そのスキルを得るのにも、経験を積むしかありません。だから、まずゼロ円でも100万でも、手の届く物件を買ってみて、失敗をしてみるのもありです。幸い、ダメだったら不動産は売ることができます。少なくとも、家いちばサイトで買った物件なら、また、家いちばサイトで売れるということです。逃げ道の用意されたチャレンジなら、やってみていいと思います。最悪、損してもいいくらいのお金で不動産のことを思いっきり学んでみてください。 (家いちばコンサルタント 藤木哲也)
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