持ち家か賃貸か?はこれで解決
「どっちが得か」で単純に比較できない もともと住む家があれば別ですが、新しい場所に移り住もうとする時に、その住居を買うのか、借りるのか、迷うところです。住宅情報誌などでも「持ち家vs賃貸」という特集がよく出され、常に注目されるテーマのひとつです。しかし、それら特集記事を読むと、それぞれの場合の支出金額をトータルで比較されたりしていますが、これにはちょっと待ったです。この2つを経済的に「どっちが得か?」とこのように単純合計で比較することはナンセンスです。例えば、家賃に払う支出とローンの返済で払う支出では意味が全然違います。前者は「費用」であり、後者は「投資」です。この違いを正しく理解するのに「ファイナンス理論」の勉強が必要になってくるため、それはまた別の機会に詳しくお話しするとして、要するに、賃貸と持ち家とをそのまま比較できないということをまず頭に入れておいてください。 持ち家と賃貸の決定的な違い まず言えることが、賃貸には「リスク」がありません。もし地震で半倒壊となっても、解約してそれで終わりです。持ち家の場合は、そうはいきません。地震保険に入っていれば別ですが、火災保険だけでは地震の被害に補償は下りず、すべて自己負担です。最悪、建物はなくなっても、ローンの返済だけが残るというリスクがあります。このことをどう考えればよいのか?そもそも、不動産を購入、所有することに何らかリスクがあります。大なり小なりです。地震のような自然災害以外にも、修繕リスク、市場リスク、法規制リスク、金利変動リスク、損害賠償リスクなど多岐に渡ります。日常的にはこれらリスクが致命傷となってしまうようなことは滅多に起こるものではありませんが、ゼロでもありません。常にそういう可能性の中にあるものです。不動産とはそういうものです。 まず考えるべきことは「資産形成」 だからまず、「リスクをとって不動産を買う(投資する)」のか、しないのか…のどちらかを選ぶのが先です。これは、長い人生において、「将来の資産形成」をどうするか?というテーマに関わります。「資産形成など考えたことがない」と言う人が実は大半なのかもしれませんが、とても重要なことです。株式などへの投資もそのひとつです。日本国民であれば、国から強制的に「年金」という投資をさせられています。しかしこれが多少心細いものになっていることは、皆さんも周知のことでしょう。これからは資産形成を自分でやっていく時代です。その中で、不動産への投資は、ひとつの大きな選択肢となります。 実はさまざまな選択肢がある もし、「不動産に投資する(買う)」という選択をしたのなら、次は、「そこに自分が住む(自宅にする)のかどうか?」を考えましょう。自分が住まないなら、それは賃貸として「人に貸す」ということになるでしょう。その代わり、自分の住まいをほかで手当てしないといけませんから、それを借りて住むなら「賃貸」ということになります。こうやって、人に貸して家賃収入を得ながらその分を自分の住まいである賃貸住宅の家賃に充てる、という生き方もあるのです。一方、買った家に自分が住めば、それは「持ち家」ということになります。少し複雑に感じるかもしれませんが、頭の整理としては、家を「所有する自分」とそれを「使用する自分」とで分けて考えるとよいです。こうすれば、数字でかなり正確に比較検討ができるようになります(このあたりもまた別の機会で詳しくお話しします)。これが、「持ち家か賃貸か」の正しい比較の仕方となります。 (家いちばコンサルタント 藤木哲也)
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