田舎図鑑
母との思い出・七ヶ宿町
宮城県七ヶ宿町
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もう30年以上も前の高校生だったころの思い出。母は六十歳を迎える前に他界した。記憶に残る面影は、あの頃のまま。気づけば、いつの間にか自分がその年齢に近づいている。女子高生だった私は、仲の良い友達4人と、七ヶ宿町横川の橋のふもとで芋煮をした。母は車で私たちと食材、鍋を川辺まで運び、近くの親戚の家へ向かった。なかなか火を起こせず困っている私たちを、気が付いたら母が助けに来てくれた。川辺にある木の皮や小枝を集め、あっという間に火をつけたあの時の母は、まるで魔法使いのようだった。帰りはバスで帰る予定のはずが、通りがかりのトラックに乗せてもらうという、今では考えられない体験もした。無線で話す運転手さんに夢中で質問したあの時間は、古い映画のワンシーンのように懐かしい。
時は流れ、七ヶ宿町には「BOOK&CAFE こ・らっしぇ」というカフェと図書コーナーを兼ねた建物ができ、隣には湯けむりの立つ入浴施設もある。若い人が働き、コンビニにはおじいちゃんやおばあちゃんが買い物に訪れる。世代が交わる風景に、ほっとする。宮城と山形の県境、江戸時代には参勤交代の大名が宿泊した宿も残る町。時代とともに人の流れは変わっても、自然の美しさと人の温かさは変わらない。あと百年後、この町はどんな姿になっているのだろう。私の中の七ヶ宿町は、母との思い出と高校生の無邪気な時間が重なり、一生忘れることはない。好きなところ:自然豊かでのんびりしているところ。イマイチなところ:野生動物が道路脇にいてびっくりすること。


