公開Q&Aコーナー
井上タカシさん
30代 男性
借地の家を買っても大丈夫ですか?
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ほしい家があったのですが、よく調べると借地でした。相場よりもかなり安いと感じたのはそういう理由なんですね。けど、手持ちの少ない私にとっては魅力です。建物もきれいにしています。買っても大丈夫なのでしょうか。
その購入をご検討のような物件のことを「借地権付建物」と呼びます。建物そのものに借地権とがセットで売られているようなイメージです。通常であれば「土地付建物」となります。「土地」そのものの名義の代わりに「借地権」という権利を買うイメージです。
まず結論として、借権付建物を買うことそのものには何も問題ありません。ただし、土地付で建物を買うことに比べて、煩わしさや「リスク」が多少増えます。しかし、その分だけ価格が安くなっていると考えれば、妥当な買い物となります。大事なことは、そのリスクなどを正確に理解して買うことです。それを我慢できるのか、できないのか、それは人それぞれであり、自分にそれが合っているのかは、ご自分で考えなければなりません。
借地の煩わしさは、まず、毎月(あるいは年1回)地代を支払う手間が出ます。たいてい個人の地主さんが多いので、自動引き落としなどやってくれません。毎月、口座振込をするか、昔ながらの地主であれば、現金を持参して支払うというケースもなくはありません。そういうことが面倒でないか自分の性格をよく考えましょう。なお、地代の延滞は絶対にやってはいけません。地主さんの心証を悪くすると、解約リスクなどが高まってしまいます。
これはどういうことか説明します。一般的な借地契約(土地賃貸借契約書)では、地主にさまざまな権利、言い替えると借地人(土地を借りている人)にさまざまな義務が課せられています。ひとつは借地期間についてです。借地の権利は永遠ではありません。必ず期限があります。そして、その期限において更新できるのかできないのか、あるいは更新時に「更新料」の支払いが必要かどうかなども決められてます。そのほか、借地権を誰かに売る時、建物の改修や用途を変えようとする場合などで、いちいち地主の承諾を必要とし、場合によっては「承諾料」が規定されていることもあります。地代の増額請求をする権利を地主に与えられていることも多いです。このように見ていくと、土地を使う権利はあるけど、やっぱりその土地は地主さんのものなんだと感じるかと思います。実際に、固定資産税などは地主さんが支払います。
さて、自分一人で完全には自由に使えない土地に自分所有の建物が建っているわけです。その不安定さが、借地の一番のネックでしょう。それは最終的には、その地主さんの「人格次第」という面が大きいです。もし、横暴な地主さんであれば、安心して暮らすことは難しくなるでしょう。ほとんどそんな地主さんはいませんし、その意味で、早めにその地主さんにお会いすると判断ができます。ただし問題なのが、地主さんも人なので、いずれお亡くなりになり、その地位をその相続人(通常、その子供たち)が引き継ぎますが、その人がどういう人かまでは想像つかないところがあります。このようなことも含めて、自分に合ってるか、よくご検討ください。
家いちばコンサルタント 藤木 哲也