不動産を直接売り買いする人たちの掲示板「家いちば」

公開Q&Aコーナー

山崎 智恵さん
30代 女性
越境していると売れませんか?
売却
空き家
土地
2024年09月28日
264
0
Q)
実家を売ろうとしたところ、不動産屋さんに「越境」してると売れないと言われました。どうすればいいですか?
A)
敷地から建物などの一部が隣地へはみ出す「越境」問題ですね。まず、それが理由で売ってはいけないという法律などもありませんので、売買そのものは可能です。ただし、越境したままだと「売りづらい」ということは起こり得ます。 その前に、越境によってどういう問題が起こるのか、理解しておく必要があります。まず、「越境する側」の立場からすると、ある日突然、隣地の人から「引っ込めろ」と言われてしまう可能性があります。どういう時かというと、隣地で建替えなどしようとする際に、その出っ張った部分が物理的に邪魔になるような場合です。隣地の人からすると当然の権利です。しかし、引っ込めろと言われても、庇の一部が越境してたりすると、簡単には解消できません。そのための工事に数十万かそれ以上かかってしまうかもしれません。 次に「越境される側」の立場から考えると、「時効取得」という問題があります。少し難しい法律用語ではありますが、簡単に言うと「一定期間、ある土地を自分のもののようにして使っていれば、いずれその土地は自分のものになる」というものです。もちろん、それにはいろんな条件があり、単純にそうなるものではありませんが、起こり得る話です。一定期間とは、10年とか20年とかになります。すなわち、越境部分を長期間見過ごしてしまうと、気づいたらその部分が隣地の人の土地になってしまうわけです。 いずれの場合にしても、話は簡単に進まず、紛争状態となります。弁護士や裁判所のお世話になる必要があり、それだけで費用と時間と苦労がかかります。すなわちこれらのことが、越境の「リスク」となります。これをそのまま売買しようとすると、そのリスクが買主にそのまま移転します。それを嫌がる買主がその物件を買わないか、あるいはそれに見合った値引きを要求されても文句は言えません。 そこで、この越境状態を解消する方法ですが、物理的に越境部分を解消できればそれに越したことはありませんが、現実としてはなかなか難しいことも多いでしょう。そこで、「越境の覚書(あるいは同意書)」を隣地の人と結ぶ方法があります。この覚書によって、お互いに越境状態を認める(そのままでよしとする)ことと、将来的に建替えなどする場合には解消することを書面で約束します。これによって、急に引っ込めろと言われるリスクもなくなり、時効取得されてしまうリスクもなくせます。市街地の建物密集地では、お互いに越境している「相互越境」も多いので、お互いに助かる書面となります。 さて、越境の覚書をまとめる前に、境界線を明確にする必要があります。そのため、境界の測量と「境界同意書」を作成しつつ、それらと同時にまとめることが多いです。これらの作業は土地家屋調査士に依頼すればすべてやってくれます。費用としては、20〜30万程度を基本に状況の複雑さによって費用も変わってきます。費用は多少かかりますが、その分を上回るほど売りやすくなる(すなわち高く売れる)などを考えれば、検討に値するのではないでしょうか。
家いちばコンサルタント 藤木 哲也
実はみんな悩んでる
あなたの”家”のことをご相談ください。「家いちば」が丁寧にお答えします
相談を投稿する