公開Q&Aコーナー
国士無双さん
50代 男性
相続予定の建物の共有持分者に認知症の人がいます
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4人の共有財産になっている状態でそのうちの一人が認知症です。相続予定の不動産の売買を行いたいのですが、認知症の人の持分を放棄してもらうことはできますでしょうか?
結論から申し上げると認知症と診断がされた方は「何も判断できない」ので相続自体の放棄もできません。「成年後見制度」を利用して後見人をつける他ありません。もしも誰かが代わりに遺産分割協議書などへの署名や売買契約を締結するようなことがあれば私文書偽造になってしまいます。亡くなる前から、後見人が選任されている場合には相続発生後に後見人と遺産分割協議を行いますが、事前に後見人が設定をされていない場合には、後見人の選任を家庭裁判所に申し立てなければならず、手続きには1~3カ月ほどかかります。その人の財産権を守ることは憲法の精神にも則したものなので、認知症と診断されてしまった方の相続関係の手続きはなかなか手強い課題です。
成年後見制度は、認知症になった方の代わりに後見人が財産を管理する制度です。すでに認知症などで自身の財産管理が難しくなった方の代わりに後見人という役割の人を置き、後見人が財産管理や重要な契約などを行います。
認知症が進行する前に後見人の設定をすることは難しい時も多々あるため、多くの方がこの問題で頭を悩ませている現状があります。手間がかかるがゆえに、建物が放置されてしまいる空き家も多々あるかと思います。現状では「成年後見制度」を使うか、その方が故人になったのちに相続手続きする他はありません。このあたりは法整備を待つしかありません。
家いちばコンサルタント 秋元 絵美香