公開Q&Aコーナー
まついさん
50代 男性
相続登記をしないと売れないと言われました
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相続登記をしないと売れないと言われましたが、どうすれば良いのでしょうか?
どこまで進んでいるかによりますが、基本的には、誰かが亡くなって、その不動産をその人のご家族の誰かが引き受ける(すなわち相続する)わけですが、まずは誰が相続するかをしっかり決めないといけません。遺言書などがある場合は別として、法律で優先する相続人(法定相続人)が決められています。それが複数人いる場合は、それぞれの配分比率も決められてます。
しかし、相続する資産が不動産の場合、現預金を配分するようにはいかず、また不動産を単純に共有名義にしてしまうと、将来的に相続をし続けた場合に名義人がどんどん増えてしまい、手続きも煩雑になります。そこで、親族間で話し合いをして、どの資産を誰が引き受けるかを任意で決めます(遺産分割協議)。
相続登記をする前段階として、この協議が済んでいる必要があります。相続財産が高額になれば、それを引き受ける際の「相続税」も決して少なくない金額となりますので、相続税のことまで考えながら、分割協議を進めなければなりません。たいてい、税理士などに依頼をしてまとめることが多いです。相続をしない(放棄する)という選択肢もあります。
さて、遺産分割協議も相続登記も、まだ途中だという場合でも、ほぼ確実に相続人が決まっていると言える状況なら(例えば法定相続人が自分一人しかいない場合など)、その不動産の売り出しには入っていいと思います。そのことを購入検討する買主さんにきちんとお伝えしておくことが大事です。少なくとも、相続登記などの手続きの期間分だけ、引渡しを待ってもらわないといけません。
ところで、相続登記が済んでいなくても、その不動産の所有権は、相続の瞬間(すなわち被相続人が死亡した時)からすでに相続人のものとなっています。相続登記が完了するまで、登記簿では亡くなった人の名義のままで 「相続未登記」という状態です。
しかし実は、もうとっくに亡くなってるのに相続登記をしないまま、何十年も経っている登記簿も世の中には少なくないです。もちろん「死人に所有権なし」で、実際には、その子孫にあたるどこかの誰かの名義となってるはずなのですが、それを過去から遡って調べることがなかなか困難なことです。すでに相続人が何十人となってしまっているケースもありえます。こうやって最近問題の「所有者不明問題」へと発展していきます。ですから、相続登記は速やかに行なっていきましょう。事がややこしくなってしまう前に。
家いちばコンサルタント 藤木 哲也