公開Q&Aコーナー
Y.Hさん
40代 男性
修繕費用を安く抑える方法はありますか?
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所有するアパートの外壁塗装をそろそろやらないといけないのですが、そういう修繕費用を安く抑える方法はありますか?
不動産を所有していると、「修繕」が悩みの種となります。それをやって収入が増えるわけではないし、出ていくお金だけです。どうしても先送りになってしまい、目に見えて不具合(漏水など)が起こってから慌てて動き出す、という状況ではないでしょうか。
さて、安く抑える方法としては、①やるべきことだけやる、②工事見積りを複数社比較検討する、③ぎりぎりまでやらない、の3つがあります。
1番目の「やるべきことだけやる」ですが、例えば、外壁塗装を業者に依頼すると、「ついでに屋根改修もやりませんか?」と提案されたりします。それにも一理あります。足場を架けるので、足場を使うような工事を一緒にやってしまった方がトータルで節約になります。しかしそれをやり出すとキリがありません。換気口の交換、雨どいの交換、バルコニーの防水等々、工事費が増える一方です。これらについてバッサリと「やらない」決断を下す必要があります。反対に、シーリングの更新のように外壁の再塗装とセットでやるべき工事もあるので注意です。
次の「複数社見積り」ですが、これは本当に鉄則です。「安い業者を探してそこに頼めばいい」と安易に考えているかもしれませんが、そんな業者はありそうでありません。私のこれまでの経験でも、複数社見積りをすると「最安値」となる業者がいつも決まったところではありません。また、比較見積りの条件を揃えるなどの工夫と努力も必要です。これによって、全く同じ条件でも、見積金額に2倍くらいの開きがあるのも珍しくありません。複数社見積りを成功させるには、細かな段取りが欠かせませんが、見返りが大変大きなものです。
最後に「ギリギリまでやらない」ですが、これが一番難しいですが、究極のコストダウンです。やらなければゼロ円です。これを言い替えると「いつやるか?」ということになります。実は、外壁塗装の前に、もっと先にやるべきことがあったりします。例えば、共用部の郵便受けを新しくして利用者のセキュリティを向上させたり、エントランスの照明を明るくしたり、植栽を植え替えたり、です。こういうことはなかなか必要に迫られないため放置されがちですが、効果的に実施すれば、これにより賃料や稼働率を上げられる可能性もあります。それにより得られた収益分を将来の修繕費に回すというやり繰りも可能となります。当然、物事はそううまくはいかないものですが、考え方です。
おすすめの今やるべきこととして、「今後10年くらいのスパンでやったほうがいいこと」をすべてリストアップすることです。そして、それぞれに概算金額を調べて(ネットなどで参考単価が出てきます)、それを賃料収入と合わせた向こう10年のキャッシュフロー表(エクセルシート)に落とし込んでいきます。これらの支出を収益だけから賄えれば合格でしょう。たいていは、借入れでもしないと回せない状況になっていることも珍しくありません。お金がなければ、先送りするしかありません。そうならないように、早め早めの計画の必要性が理解できることでしょう。それが第一歩です。あるいは「あるお金で何ができるか?」を一生懸命考えることになるでしょう。大事なことは工事費をただやみくもに下げることではなく、限られた資金で物件の価値を高めて継続的に安定稼働させていく工夫であることに気づくことでしょう。
家いちばコンサルタント 藤木 哲也