江戸時代からの産業遺産を含めた売買でしたが、貴重な里山を守ってくれる方に出会えて今までの苦労が報われました
2022年9月始め、私は家いちばさんにこんな物件でも売れるのでしょうか?と恐る恐る思い出をテーマにお手紙を出させていただきました。と言うのは今回の件は単なる不動産売買だけでなく事業継承も含み、それも20年以上試行錯誤しながら進めてきた自然体験ツアーの継続、同時に江戸時代からの貴重な産業遺産、地域遺産を守っていただきながら・・と言うのが条件でした。多分家いちばさんにとっても前代未聞の難しい試みだったのではないでしょうか。私にとってはこんな物件を買ってくださる方がいるのか。家いちばと言う何か怪しげな名前の会社が仲介して大丈夫なのかしら?(笑)しかし蓋を開けてみると不安はぶっとび電話は鳴りっぱなしで、現地まで飛んできた人たちもいました。 そして1ヵ月後、2~30人ほどの問い合わせの中から地域振興をやってくださる方、昔からの貴重な産業遺産を守ってくださる方など、約10名近い方々が実際に山を訪れ、体験ツアーに参加され、一対一で面談もさせていただきました。出会った顔ぶれは、どなたもやる気があり、且つ慎重で、こんな素晴らしい方々が遠い南伊豆までお越しくださいました。今までの苦労が報われたような気がいたしました。10月に行った内覧会では、山の上は風が冷たいので、温かい冬瓜と鶏のつみれ汁を前日仕込んで味を染みらせて、焚き火で温め、召し上がっていただきました。何杯もおかわりされる方も多く、嬉しかったです。そして石切り場だけでなく、私のツアーにも感激され、里山の持続可能性の大切さもわかる方に売却を決めさせていただきました。 「貴重な里山を100年守ります」と力強く明快なお言葉をいただき、直感でこの人たちならやってくださると思ったのです。もし今日亡き父が存命であれば、2人は抱き合って「頼みます」「引き受けました」と言う交流が生まれたかもしれません。現在の日本の国土の6割以上を占める森林の評価は低いものですが、私たち親子は放置された里山に価値を見出し、そして家いちばさんは思い出と言うテーマを扱ってくださり、今回満足した売買となりました。私は高齢で無理を続け、限界でした。感謝しております。 二十年、持ちこたえた日々の長きかな めぐり会い見る 今日の晴ればれ 自己評価:100点
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