公開Q&Aコーナー
E.Mさん
ゲストハウス手続きに検査済証と設備図面が必要と言われました
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買主さんより、ゲストハウスをするにあたり建築基準法の検査済証と、入浴設備における湯水の供給及び排水に係る配管の系統図の書類が欲しいとの連絡がありました。売り家は以前民宿をしておりましたが、中古で購入したこともあり、その様な書類は見当たりません。何か方法はありますか?
まず建築基準法の「検査済証」についてですが、昔は今よりも建築関係の手続きや役所の取り締まりが厳しくなかったので、古い建物の場合、建設当時に「確認申請」の手続きはしていても「完了検査」を受けていない(=検査済証がない)ことは割と良くあります。また長い年月の間に書類を無くしてしまうことも多いでしょう。
ゲストハウス開業にあたり、保健所手続きで「旅館業営業許可申請」を行うため添付書類として「検査済証」が必要ということかと思いますが、上記の通り書類が無い事はままありますので、買主さんの方で保健所に「検査済証は必須なのか?無い場合はどうしたら良いのか?」素直に相談してみて頂くと良いでしょう。旅館業許可の要件は都道府県ごとに微妙に異なり、建物規模によって判断が変わる場合もあるので一概には言えませんが、そもそも「検査済証」の添付を求めない自治体もあります。
また今回のケースでは、元々民宿だった建物を再利用するだけですので既に必要な基準をクリアできている可能性が高く、建築基準法の「用途変更の確認申請」も不要と思われます。保健所に相談する時に、その辺りの詳しい状況も伝えると保健所も判断がしやすいかと思います。
次に「入浴設備における湯水の供給及び排水に係る配管の系統図」についてですが、こちらは旅館業営業許可申請と並行して行う「水質汚濁防止法の届出」で提出を求められる図面になります。古い小規模な建物の場合、そもそも建設時に設備図面を作成していない事も多く、例えあったとしても設備更新で内容が変わっている可能性も高いので、旅館業に詳しい建築士さんや設備業者さんに依頼して、現況調査して新たに図面を作成する方が間違いがないかと思います。
旅館業法の許可手続きは買主さん側で行うものなので、売主さん側で用意できない(持っていない)書面についてはお渡しできなくても仕方がないものと思いますが、物件を購入してくださった買主さんがスムーズに開業できるよう、可能な範囲でご協力をして差し上げられると気持ちよく商談が進むと思います。いずれにしても、書類や図面が無くても手続きを進める方法はありますので、買主さんご本人で対応するのが難しい場合は、専門家にご相談頂くことをお勧め致します。
家いちばコンサルタント 天野 美紀